2010年に名古屋で、生物多様性条約の
第10回締約国会議(COP10)が開催されるとあり、
テレビなどで「生物多様性の保全」というキーワードを耳にすることも
多くなったのではないでしょうか。
滋賀県が発表した「持続可能な滋賀社会ビジョン」でも、
「低炭素社会の実現」と「琵琶湖環境の再生」を目標として掲げられており、
行政やNPO、企業の立場から生物多様性に関する動きも始まりつつあります。
先日、「市民型公共事業」として霞ヶ浦の環境再生に取り組み、
新しい価値の地域産業を次々と起こしている
アサザ基金代表理事の飯島博氏からお話を伺いました。
そこですごいと感じたのが、多くの人々の心を動かす
きっかけを作るような「モノ、物語」のパワー。
たとえば、飯島さんが取り組む霞ヶ浦における生態系保全活動では、
かつては普通に自生していた「アサザ」という水草に着目して、
流域の170を越える小学校においてアサザを育てる
学習プログラムを実施してきました。子供たちがアサザを育て
湖に植えつけるうちに、活動は子どもから大人へも広がっていき、
誰も注目しなかった「ただの草」が現在では「湖の美のシンボル」となり、
事業も里山の手入れや地酒ブランドの開発、漁業の振興など
多種多彩に展開しているそうです。(→アサザから生まれた事業イメージ)
同じく飯島さんが支援している秋田県地域振興局の
「環八郎湖・水の郷創出プロジェクト」では、地元に伝わる
八郎太郎物語という「竜」の伝説をモチーフに、
「小さな竜(トンボ dragonfly)を増やして、大きな竜を呼ぼう!」
と呼びかけています。
滋賀県でも、そうしたきっかけになるような「物語」はないか、と
図書館の郷土資料コーナーで探してみたら、
滋賀県児童図書研究会がまとめた
「みずうみのくにの18のものがたり」という本を見つけました。

たとえば、もともと琵琶湖の固有種である「ゲンゴロウブナ」にちなんで
堅田地方には「フナになった源五郎」という物語があるそうです。
堅田に住むなまけものの漁師、源五郎が、湖岸の葦原の中で
傷ついたフナを助けたところ、そのフナが美しい女に化けて村にやってきて、
源五郎の妻となりその恩を返す、という物語。結局「見ない」と約束していた
嫁の湯浴みを源五郎がのぞいたために、嫁は琵琶湖に消えてしまい、
探しにいった源五郎も舟から落ちて行方不明。でも数日後、
仲良く泳ぐ2匹のフナを見て、「源五郎はフナになった」と
漁師たちは噂していたそう。
今後の展開はまだ分かりませんが、身近にある当たり前のモノ、
地元に伝わる物語など、新しい視点で発掘してみると面白そうです。