4月初め、補完通貨の専門家であるベルナルド・リエター氏をお招きして、
以下のように、滋賀県内の様々な方と勉強会・懇談会を企画しました。
・4月5日昼 嘉田県知事との懇談会

・4月6日昼 滋賀県琵琶湖・環境科学研究センターでの勉強会

・4月6日夜 滋賀経済同友会での懇談会
・4月7日昼 小舟木エコ村での勉強会(→報告はこちら)
・4月7日夜 エコ村ネットワーキングのセミナー
日本でも数年前、地域通貨がブームになったことがありましたが、
今回リエターさんのお話をいろんな場所で聞いてみて、
今まで知らなかった可能性を知り、改めてワクワクしています。
そんな気づきを皆さんと共有できればと思い、
まだまだ消化中ですが、以下、まとめてみました。
補完通貨とは?
日本では「地域通貨」という名前が広まっていますが、リエターさんは、
地域内のやりとりの活性化を目的とした通貨だけでなく、もっと幅広く、
「補完通貨(Complementary Currency)」の設計に取り組んでいるそうです。
お金の多様性を「陰陽」にたとえて分類してみると、
一番「陽」の側にあるのは、日本円など一般通貨、
一番「陰」の側にあるのは、贈り物や物々交換、
その間のどちらかというと「陰」寄りのところに補完通貨が位置づけられます。
各国の中央銀行が発行している「陽」の一般通貨は
「中央集権的・統制的・不足・競争推進・持続不可」に基づき、
広範囲にわたる商業ツールとしては役立つものの、
それが地域経済の自立を妨げたり、コミュニテイを崩壊へと導く側面も。
一方、いろんな団体や人が発行できる「陰」の補完通貨は
「オープン・民主的・効率性重視・持続可能」で、
広い地域では流通しにくいですが、「住民の協力、相互信用、共生」
の上に成り立つので、「陽」のマイナス面をカバーして
地域経済の活力になるとの主張です。
ただ誤解してはいけないのは、「円」が地域経済を破壊してしまう、
からといって、その存在を否定してしまうのではなく、
「円による独占状態」から脱却して、様々な補完通貨による
多様性を生み出すことが大切だということ。
そうしてお金のしくみが変われば、それを使う人々の
行動や感性も、社会の流れも変えられるのです。
たとえば、現在流通している補完通貨には、様々なものがありますが、
私たちがよく耳にするコミュニティのつながりを紡ぎ直すためにNPOや
行政が発行する「地域通貨」だけでなく、顧客囲い込みのために企業が
独自に発行するマイレージなどの「企業通貨」なども、補完通貨の一種です。
そして、今回リエターさんから滋賀県に提案してもらったのは、
環境改善のためのボランティア活動を促進するための「環境通貨」でした。
どんな通貨を使うにしても、その目的に合わせて、適切なシステムを
デザインすること、そして同時に、その通貨の需要を作り出す仕組みを
組み込むことが大切なのだそうです。
新しい環境通貨「びわ」の提案
滋賀県には日本最大の湖である琵琶湖が存在し、琵琶湖の水は、
滋賀だけでなく、京都や大阪などに住む人たちにとっての水がめでもあります。
今回、リエターさんをお招きした最大の目的は、琵琶湖の水を
きれいにするための滋賀県の政策として、環境活動の推進を目的とした
補完通貨をどう設計したらよいか、アドバイスをいただくことでした。
4月5日の嘉田県知事との懇談に始まり、県内のNPOや行政、企業の方々と
お話する中で、新しい環境通貨「びわ」の提案内容も次第に、ブラッシュアップ
されてきました。
その仕組みをざっくりまとめてしてみると、こんな感じになるでしょうか。
1.県で新たな条例を制定して、県内の各世帯に対して、毎年、一定量の
環境活動への参画を義務付け、その対価として渡される「びわ」を
県に納めることを決める。
2.様々な研究機関とともに、県が、その年に解決すべき環境問題の
優先順位を検討して、「びわ」を入手できる環境活動のリストや
どれだけ活動したら何「びわ」もらえるかの換算レートなどを決定し、
県民に広く告知する。
3.各活動に関わるNPOなどとも協力して、活動に貢献した県民に対して、
活動量に相当する「びわ」を発行する。「びわ」の発行ややりとりには
携帯電話のオンラインシステムなどを使うことで、簡単にやりとり
できるようにする。
4.なかなか活動する時間がとれない世帯は、たくさん活動して
「びわ」を余分に持っている人と交渉して、県に納める必要のある分だけ
「びわ」を入手する。
(※上記はあくまで現時点での私の理解に基づくものです)
リエターさんは、この仕組みのメリットとして、県で新たに
大きな予算を組んだり、円による増税をしなくても、県民の環境活動による
貢献を引き出すことができること、環境活動が義務づけられることで、
県民の行動パターンや意識を変えることができること、
他、さまざまな利点を挙げてくれていました。
最終的な目標は、「びわ」が一定期間流通した後には、
「びわ」が発行されなくても当たり前のように琵琶湖が
きれいな状態に保たれるようになること。
そんな転換が起こることを楽しみにしつつ、まずは「びわ」の実現に向けて、
全力を尽くしたいと思います!!
(高田友美)