ガビオタス -南米コロンビアのトピア-
前号のオーロビルとしばしば並べて取り上げられることの多いガビオタス。どちらの村も、見捨てられていた不毛の土地で科学者や地域住民たちが活動をはじめ、地球を修復しながら、創造的で充実した生活を送っている実例として注目を集めてきました。
<挑戦のはじまり>
ガビオタスを創設したのは、コロンビア人活動家のパウロ・ルガリ氏。
1965年、この不毛な地域を上空から見た彼はふと考えました。
もしもこの土地で人間が生活できるのであれば、どんなところでも
生活をしていくことは可能だろう。こうして、翌年、ルガリ氏は、
科学者、アーティスト、農学者、技術者たちを引き連れ、ボゴタから
過酷な15時間の旅を経て、ベネズエラと国境を接するラノス・オリエンタレス
(東部平原)へやってきました。

<適正技術の開発・普及>
ガビオタスでは、「北」の気候に合わせてつくられた技術に頼るのではなく、
「南」(熱帯)ならではの文明化を目指しています。ルガリ氏いわく「欧米から
解決策を持ち込むと、彼らの問題も持ち込むことになる」からだそうです。
彼らは必要に迫られて次々と発明を生み出していきます。
ガビオタスでまず目に入るのが、アルミでつくられた巨大な「ひまわり」型の
風車。この荒野に最適な風車として発明されましたが、特許取得はせずに
自由に共有できるようにしたため、今ではこの風車はコロンビアだけでなく
中央アメリカやチリにまで広がり、「ガビオタス」がこの風車の呼び名にもなっています。
そして、驚いたのが、シーソー型のポンプ。それまでは、バケツを持って
川まで行き、にごった水を運んで使っていたのですが、今や幼稚園の
シーソーで子供たちが遊ぶだけで、きれいな水が湧き出てタンクに
たまるようになりました。この単純で安価なポンプは、コロンビア中の
農村生活を改善することに貢献しています。


その他にも、メタンガスのコンロや太陽光やかんなど、様々な発明が
ガビオタスから生み出されているそうです。
<新たな産業への転換>
しかし、発明品を製品化して、販売収入で生計を立てていたガビオタスの
人達に危機が訪れます。1980年代、政府が所有する石油・ガス産業を
優遇するエネルギー政策や、安い食料を大量に輸入する自由貿易政策に
よって、太陽光関連の機器や風車、ポンプからの収益が激減してしまいます。
ガビオタスの製造業は縮小を余儀なくされますが、誰も解雇しませんでした。
なぜなら、ルガリ氏いわく「ガビオタスは会社ではない。コミュニティなんだ。
だから解決策は、雇用であり、ガビオタスが成長することを意味するべきだ」からです。
彼らの見つけた解決策は、過去12年間にわたって植えてきた160万本の
カリブ産の松でした。この松は、ラノスの厳しい土壌でも栽培できる数少ない種で、
その松脂から抽出されるテレピン油からは、塗料、化粧品、医薬品、接着剤を
つくることができます。また、コロンピア政府は、樹脂輸入に年間400万ドルを
費やしていました。風車製造工場を転換してつくられた松脂加工工場は、
1997年度国連世界ゼロエミッション賞にも輝きました。
<ガビオタスはユートピア?>
「ガビオタスはユートピアだ」といわれる。でも、ルガリ氏によると「ユートピア
ではない、トピアだ。ユートピアはどこにも存在しない場所という意味、空想上の
土地だ。しかし、ガビオタスは実際に存在しているではないか。」
ガビオタスは「ある村」ではなく「実例」であるからこそ、人びとをこんなにも惹きつけるのでしょう。
<参考HP>
Friends of Gaviotas http://www.friendsofgaviotas.org/
Social Design Notes http://www.backspace.com/notes/topic/product(かなり下のほうにあるコラムです)
<編集後記>
昨年出版された、アラン・アトキンソン著「カサンドラのジレンマ」で
「世界を変革する村」と紹介されていた、このコロンビアの村がずっと
気になっていました。調べてみると、次から次へと面白い取り組みが!!
ますますその魅力にはまっていきそうです。交通の便も悪く、大変な気候の
場所にあるようですが、いつか実際に訪れて、そのパワーを感じてみたいものです。